四万十の山林を育む、林業の拡がり

こんにちは。

この地域の林業について、今井深暉隊員もシリーズ(十和の林業十和の林業 その2十和の林業 その3)で掲載していますが、私セジマも大正地域に残る森林軌道跡や営林署(国有林の管理・経営にあたっていた地方支分部局)跡、地元の高校には林業科が存在していたことなどを見聞きするにつけ、林業との結びつきがとても深い土地柄であることを実感します。

   
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※大正奥四万十 下津井地区にある「めがね橋」(昭和19年)は、森林軌道の名残。高知県近代化遺産に指定されています。
そして現在、『四万十町森林組合 大正集成材工場』では、山から伐り出した原木の製材で生じた端材や曲がり材、間伐材など市場価値のなかった材を小さな板材(ラミナ)に加工し接着剤で再構成した「集成材」や、それを用い「家具」という形で流通させる取り組みをおこなっています。
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※敷地に入ると、ヒノキの香りに包まれます。特にこの地域のものは、「四万十ヒノキ」と呼ばれ、独特の薄紅色の色合いと香りの高さに定評があります。
木を集成材として加工するにはラミナの状態で乾燥させる必要があります。こちらでは、加工の際に発生するおがくずや木片などを燃料にするバイオマスボイラーの熱を利用し、人工乾燥をおこなっています。乾燥方法は樹種によって全く異なるため、ヒノキのみに特化しています。
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※乾燥を待つラミナ状態の四万十ヒノキ。
乾燥後のラミナは切削と選別をおこない、縦継(フィンガージョイント)の加工、接着、仕上げなどの工程を通して「集成材」は出来上がっていきますが、節や木目も一様ではないため機械化しつつも常に人の目と手が入り続けます。  
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※ラミナ同士の接着は、フィンガージョイント部分が重ならないよう、少しずつずらします。
 
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※素手で作業されているのは、目には見えない凹凸や傷もチェックできるように。
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※死節は削って、ホットプレートであたためた木粉入りのパテで、一つ一つ丁寧に埋めていきます。
  市場に流通する木材は「定尺」と言われる定められた基準寸法でつくられることがほとんどですが、発注者側の要望に応じてオーダー寸法の集成材が作れることを強みとしています。 そしてさらなる強みが、家具製造です。家具には一般に細かな加工に耐えうる硬い広葉樹が使われることが一般的ですが、ヒノキを中心とする針葉樹は柱や壁板などの建材に使われることがあっても、家具材として使われることはあまりありません。 ですが、一定安定した品質を確保できる集成材を、なおかつオーダー寸法で作れることが家具製造をも可能にしています。
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※某大手寝具ブランドのOEMとしてベッドを製作中。ここで培ったノウハウが自社ブランド“ヒノキカグ”に活かされています。
ヒノキカグの製品は東京を中心とした関東方面で評価が高く。保育園や幼稚園などの教育施設でも採用されています。また近年ではヒノキは海外からの注目度も高く、この地域の山林を育むためにも、もっと広く流通してもらいたいと思います。
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※「大正駅前にぎわい拠点」のカフェテーブルも、ヒノキカグ製。
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お問合せ

四万十町森林組合 大正集成材工場

786-0302 高知県高岡郡四万十町瀬里57-3 TEL.0880-27-0175 FAX.0880-27-1032 http://hinokikagu.com/
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